2006年6月12日
日本ヘルスサポート学会設立発起人は、下記の考えに基づき、日本ヘルスサポート学会を設立したことを宣言する。
1 これまでの研究活動
米国において実践活動が積み重ねられ理論的に整理された、ディジーズ・マネジメントに関して、日本でも2000年頃から研究が行われてきた。その一つが、医療経済研究機構において自主研究としてなされた「職域における健康管理に関する実態調査」(座長松田晋哉産業医科大学教授)である。その研究成果は、2004年に『日本型疾病管理モデルの実践』として刊行された。2001年からは、損保ジャパン記念財団主催のディジーズ・マネジメントに関する研究会(座長田中滋慶應義塾大学教授)がスタートし、研究者・実務家等により研究会活動がなされてきた。この研究会は、2003年には研究成果を『米国におけるディジーズ・マネジメントの発展』として刊行し、同年にはシンポジウム「ディジーズ・マネジメント発展の可能性と課題」を開催した。更に2005年にシンポジウム「今日求められる健康自立支援サービス−生活習慣病のセルフコントロール支援とサービス効果の追求を目指して」を、2006年に「これからの生活習慣病対策のあり方を探る−米国のメディケア、メディケイドにおけるディジーズ・マネジメント・プログラム導入から学ぶ」を開催した。2005年には、日本疾病管理研究会が設立シンポジウムを開催し、活動を開始した。2005年から、損保ジャパン記念財団主催のディジーズ・マネジメントに関する研究会は、同財団主催の「ディジーズ・マネジメント政策課題研究会」と、ディジーズ・マネジメントに関する研究会の事務局を務めてきた損保ジャパン総合研究所主催の「ディジーズ・マネジメント実践事例研究会」に発展的に拡大した。損保ジャパン総合研究所は、実践事例等を紹介するニューズレター「ディジーズ・マネジメント・レポーター」誌を日本語英語の二カ国語で刊行し、海外にも情報発信を行っている。
介護分野においても、数多くの研究がなされており、たとえば2005年『介護予防入門』(松田晋哉著)などの研究成果が公刊さ
れている。
以上のとおり、学術研究は多く蓄積されている。その一端を別紙に掲げている。
2 実証研究・実践活動
産業保健分野では労働安全衛生法に基づき職域において従来からディジーズ・マネジメントとして整理できる活動が積み重ねられ、それらの理論的研究も進められている。地域保健分野でも、従来から老人保健法に基づき地方公共団体が日本の各地において国保ヘルスアップ事業などの保健実践活動が行われ、実証研究も積み重ねられてきた。
さらに、最近では各種の事業体によって専門性が高いディジーズ・マネジメント事業が活発にかつ積極的に取り組まれている。
また、介護分野においては、数々の実証研究成果を踏まえて、2006年から介護保険法に基づき新予防給付および地域支援事業における実践活動が開始された。
3 政策的な展開
健康増進は、従来から厚生行政の重要な政策課題として厚生省は対策を進めてきた。1998年には「21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)」 が開始され、その法的基盤となる健康増進法も施行された。このような国民運動に加えて、経済産業省
においても、健康サービス産業をサービス産業振興の重点分野として取り組んでおり、各地で行われる健康サービス産業推進を図る健康サービス産業創出支援事業を展開している。
介護分野では、介護保険法が改正され、予防重視型システムへの転換が図られている。
生活習慣病対策は従来から進められてきたところであるが、2008年度からは新たにメタボリックシンドロームの概念を導入して、
メタボリック健診・保健指導事業が、全ての医療保険者の法定事業として全国的に大規模に展開される見通しとなっている。
4 学会設立の必要性・意義・期待
以上の通り、ディジーズ・マネジメントの考え方で整理することができる研究活動の積み重ね、実践活動の活発化、政策的な展開が見られる状況になっている。この状況は、 これまで日本において様々な活動が蓄積されて、現在では、従来には無かった、ディジーズ・マネジメントの考え方で整理される領域が興隆していることを意味している。
この新たに興隆した領域は、医学・看護学・保健学、経済学、経営学、心理学、社会学等の学際的な領域であり、学際的なアプローチを必要としている。新たな学際領域に学際的なアプローチを行う学会が、今日求められている。この学会においては、米国のディジーズ・マネジメントをそのまま模倣するのではなく、日本の現実に即した実践活動に基盤をおいて、実践的な寄与が期待される研究活動がそれぞれのアプローチが協働し相互作用がなされることが期待されている。
ディジーズ・マネジメントは、疾病管理と直訳されるが、上記の領域の活動を表すには適切でない面もあるので、上記の活動をヘルスサポートと呼称することにし、名称を日本ヘルスサポート学会とする。
ヘルスサポート学会は、ヘルスサポートに関する実証研究・実践活動の成果を学問的に検討し知見を交換できる場を提供する。また、本学会は、日本だけを対象にするのではなく、食文化・ライフスタイルに類似性があるアジア・太平洋州も対象に学術誌を刊行し、国際交流を図ることにした。
本学会の活動が、広く多くの関係者に裨益することを期待する。
日本ヘルスサポート学会設立発起人(五十音順、敬称略) |